うなぎ料理はどうして食べられるように?歴史を知ろう
うなぎは古くから日本人に愛されてきた食材で、奈良時代の万葉集には夏痩せに効く滋養食として詠まれています。
江戸時代になると醤油や甘味調味料の普及により、蒲焼き(甘辛いタレで焼いたうなぎ)が現在の形で完成し、その美味しさから大流行しました。
「土用の丑の日」は日本の鰻を食べる風習です。
「土用の丑の日」にうなぎを食べる習慣も江戸後期の文化・文政年間(1804~1830年)頃に始まったとされ、平賀源内が夏場に売上が落ちる鰻屋に「本日丑の日」と張り紙を出させた逸話が有名です。
この巧みな宣伝で、“丑(うし)の日に『う』の付く食べ物を食べて夏負けしないように”という風習を利用し、江戸の人々にうなぎを食べる習慣が広まりました。
やがて、うなぎ人気がまさに“うなぎ登り”となり、東京では寿司・蕎麦・天ぷらと並ぶ江戸四大名物に数えられるほど定着しました。
東京と大阪ではうなぎの調理法に違いあり
また、江戸(関東)と上方(関西)ではうなぎの調理法にも違いがあります。
江戸では脂の多い大ぶりの鰻を背開きにして一度蒸してから焼くのに対し、大阪など関西では鰻を腹開きにして直接焼き上げる「地焼き」スタイルです。
蒸す関東風はふっくら柔らかな食感、蒸さない関西風は皮が香ばしくパリッとする食感が特徴で、江戸前の濃厚な蒲焼きと上方の香ばしい蒲焼きという違いを生み出しています。
食文化と調理法の違いも、うなぎ料理の歴史的な奥深さと言えるでしょう。
鰻重の食べ方をご紹介

鰻重(うなじゅう)とは、蒲焼きにした鰻をご飯の上に乗せて重箱に詰めた料理です。
伝統的な鰻重には、お吸い物(多くは肝吸い)と香の物(漬物)がセットで提供され、うなぎの旨味を引き立てます。
鰻重の食べ方講座

まず蓋を開けたら、最初にお吸い物で喉を潤してから鰻重に箸をつけるのが上品ないただき方です。
ご飯と鰻がバランスよく口に入るよう、重箱の左下から少しずつ崩さずに食べ進めると見た目も綺麗に。
箸休めには添えられた漬物を合間に口にし、さっぱりと味をリセットしながら最後まで美味しくいただきましょう。
机にある緑色の粉が出る粉末は何?
鰻重に欠かせない名脇役が山椒です。
付属の粉山椒はその爽やかな香りとピリッとした辛みで、脂ののったうなぎの風味を引き締めてくれます。使い方のコツは、いきなり鰻の上に振りかけないことです。
蒲焼きの上に直接山椒を振ると香りが強すぎてうなぎ本来の味が負けてしまうため、一度うなぎの身を箸でめくり、ご飯の上に適量を振ってから鰻を戻します。
まずは何もかけず鰻本来の味を楽しみ、途中で山椒を少量ふりかけて香りの違いを試すと良いでしょう。
店によっては卓上に蒲焼きのタレが用意されていることもあります。その場合は、途中でご飯に少しタレを足して“たれ飯”を味わうのも通な楽しみ方です。
お吸い物は途中で口直しに飲んでも、食後にゆっくり味わっても構いません。
最後に残ったご飯粒もきちんと頂き、重箱の蓋を閉めれば、美しい食べ方のマナーは完璧です。
大阪ミナミのおすすめうなぎ料理店10選

大阪ミナミ(難波・心斎橋周辺)で美味しいうなぎ料理が楽しめる人気店を10軒紹介します。いずれもレビューで高評価(★4以上)を獲得し、観光客にも評判の店舗です。
それぞれのお店の特徴や営業時間、所在地を箇条書きでまとめました。
1. 地焼きうなぎ 法善寺 山かづ

創業50年以上の老舗。関西風の地焼きスタイルで、注文を受けてから生きた鰻をさばき、備長炭でじっくり焼き上げます。蒸さない関西流の特徴は、皮はパリッと香ばしく、身はふっくらジューシー。丸ごと一尾を使った豪華な鰻重が名物です。
- 住所・アクセス:大阪市中央区難波1-1-16(法善寺横丁内)。地下鉄なんば駅14番出口より徒歩5分
- 営業時間:11:30~14:30(L.O.14:00)、17:00~22:00(L.O.21:30)。不定休
- レビュー評価:Google★4.2/5(タレの香ばしさと関西風の豪快な鰻が高評価)
- 英語メニュー:なし(店員により簡単な英語対応可)
2. うなぎ万蔵(うなぎ まんぞう)

比較的新しい鰻専門店。鹿児島産の上質な鰻を備長炭で香ばしく焼き上げた鰻重を、お手頃価格で提供しています。なんばグランド花月(劇場)正面という立地で座敷席もありグループ利用も可能、カジュアルな雰囲気ながら鰻・ご飯・タレのクオリティにこだわった人気店です。
- 住所・アクセス:大阪市中央区難波千日前12-4 河内屋ビル1・2F。南海なんば駅・大阪メトロなんば駅より徒歩2分
- 営業時間:11:00~21:00(L.O.20:30)、年中無休
- レビュー評価:Google★4.1/5(価格に対するコスパの良さと立地の便利さが好評)
- 英語メニュー:あり(英語表記のメニューあり。スタッフも簡単な英語対応可)
3. 炭火焼寝床 心斎橋本店(すみびやき ねどこ)

2010年創業、カウンター中心の落ち着いた和空間で串焼きスタイルの鰻料理を提供する人気店。「鰻の寝床」の名の通り、鰻串(肝焼きや蒲焼き串など)と鰻重が看板メニューです。創作鰻料理やお酒とのペアリングも充実しており、地元常連も多い名店です。
- 住所・アクセス:〒542-0083 大阪府大阪市中央区東心斎橋2丁目6−11 三ツ寺Leesビル 2F
- 営業時間:ランチ11:30~14:00、ディナー18:00~23:00(L.O.22:30)。不定休
- レビュー評価:Google★4.3/5(「香ばしい串焼き鰻が絶品」「関東と違う風味が楽しめる」と高評価)
- 英語メニュー:なし(メニューは日本語のみだが、一部スタッフは英語対応経験あり)
4. 鰻つりと鰻重 蜂谷(はちや)

店名の通り店内でうなぎ釣り体験ができるユニークなお店。生け簀で泳ぐ鰻を自分で釣り上げると、なんと会計から2,000円引きになるサービスがあります。釣った鰻はすぐさばいて備長炭で焼き上げてくれるため、新鮮そのもの。看板メニューの鰻重は外はカリッ、中はふわっと香ばしく、釣り体験と合わせて思い出に残る一品です。
- 住所・アクセス:大阪市中央区難波千日前3-12 千日前セントラル第7ビル1F〜4F。南海なんば駅より徒歩3分
- 営業時間:月曜・日曜11:30~23:00(L.O.料理22:00)、火~土曜11:30~翌4:00(深夜営業あり、L.O.料理翌3:00)。不定休
- レビュー評価:Google★4.0/5(体験の楽しさもあり「家族連れで盛り上がった」「夜遅くでも鰻が食べられる」と好評)
- 英語メニュー:あり(英語・中国語・韓国語のメニューを用意、外国語対応スタッフも在籍)
5. 黒門うなぎ

2024年12月オープンの新進気鋭の鰻専門店。有名な黒門市場エリアに位置し、三重県産のブランド鰻「木曽三川うなぎ」を贅沢に使用しています。鰻重(松)は一尾半もの鰻が乗った特上品で、価格帯は5,000円~15,000円と高級ですが、そのぶん極上の厚みと旨味を堪能できます。職人が丁寧に焼き上げる鰻はタレとの相性も抜群で、特別な日の食事や自分へのご褒美に選ばれるお店です。
- 住所・アクセス:大阪市中央区日本橋2-3-19。地下鉄・近鉄日本橋駅より徒歩3分(黒門市場すぐ近く)
- 営業時間:11:00~18:00(売り切れ次第閉店)。無休
- レビュー評価:Google★4.5/5(「高価だがそれに見合う品質」「鰻の身が厚くて驚いた」と絶賛の声)
- 英語メニュー:あり(英語ページあり。スタッフも外国人対応に慣れています)
6. うなぎのじょん

法善寺横丁の石畳にひっそり佇む隠れ家的な鰻専門店。カウンター8席のみの落ち着いた空間で、職人が目の前で鰻を捌き串焼きや鰻重を提供します。看板の「特上鰻重」は蒸し焼きにした柔らかな鰻に秘伝のタレを絡めた逸品で、口に入れるととろける食感。予約必須の人気店で、外国人客にも「伝統的な技法と現代的センスが融合した鰻料理が楽しめる」と評判です
- 住所・アクセス:大阪市中央区難波1-1-18 エチゲンビル1F(法善寺横丁内)。地下鉄なんば駅14番出口より徒歩3~4分
- 営業時間:11:30~15:00(L.O.14:00)、17:00~23:00(L.O.22:00)。無休
- レビュー評価:Google★4.6/5(「大阪でこんな美味い鰻に出会えるとは感動」「静かな雰囲気で特別な体験ができる」と高評価)
- 英語メニュー:なし(※店主は簡単な英語での案内に対応可能な場合あり)
7. 東京竹葉亭 なんば店

江戸末期創業の老舗東京竹葉亭の味を大阪で楽しめる支店。江戸前の鰻調理法を受け継ぎ、背開きにした鰻を一度白焼きしてから蒸し、甘辛いタレをつけて香ばしく焼き上げる関東風スタイルが特徴です。名物の鰻重のほか、ひつまぶしや鯛茶漬け、だし巻き玉子など上品な日本料理も揃い、高島屋内ということもあり落ち着いた上質な空間でゆっくり食事ができます。接客も丁寧で観光客にも入りやすい雰囲気です。
- 住所・アクセス:大阪市中央区難波5-1-18 高島屋大阪店7F(なんばダイニングメゾン内)。南海難波駅・OsakaMetro難波駅直結
- 営業時間:11:00~21:30(L.O.21:00)。高島屋の定休日に準ずる
- レビュー評価:Google★4.2/5(「上品な味付けで外国人にも食べやすい」「百貨店の中でアクセス良好」と安定した評価)
- 英語メニュー:あり(英語メニューおよび英語話者スタッフ在籍)
8. 江戸川 なんばウォーク店

関西を中心に展開する鰻料理チェーン「江戸川」の店舗。創業百年を超える老舗で、関東風に蒸してから焼くふっくら柔らかな鰻と、創業以来継ぎ足しの甘めのタレが自慢です。ミナミの地下街という便利な立地で、買い物途中でも気軽に立ち寄れます。鰻重はもちろん、ひつまぶし風の「まぶし丼」や鰻巻き、肝吸い付きのセットメニューなど種類も豊富。価格も鰻重一人前税込3,000円前後と比較的利用しやすく、観光客から地元ファミリーまで幅広い客層に親しまれています。
- 住所・アクセス:大阪市中央区難波2-1-14 新御堂筋難波ウォーク1番街(地下街)。OsakaMetro御堂筋線なんば駅北西改札から徒歩1分
- 営業時間:11:00~22:00(L.O.21:00)。不定休(なんばウォークに準ずる※奇数月第3水曜休)
- レビュー評価:Google★4.0/5(「チェーンとは思えないクオリティ」「テイクアウトのお弁当も美味しい」と安定した評価)
- 英語メニュー:あり(写真付き多言語メニューあり。外国語対応スタッフは日による)
9. 黒門 川ひろ(くろもん かわひろ)

黒門市場近くで半世紀以上愛された伝説的鰻店「川ひろ」が、二代目店主により13年ぶりに奇跡の復活を遂げました。関西風の直火焼きで提供される名物の鰻飯(まむし)は、ご飯の間にも蒲焼きが挟まれたスタイルで、一度食べれば忘れられない深い味わいと評判です。カウンターのみの小さなお店で、昼営業のみとハードルは高いですが、地元の食通たちが足繁く通う隠れた名店です。
- 住所・アクセス:大阪市中央区日本橋1-22-9。近鉄日本橋駅・OsakaMetro日本橋駅より徒歩5分(黒門市場北寄り)
- 営業時間:11:00~16:00頃(※鰻が売切れ次第終了)。定休日:日曜・祝日
- レビュー評価:Google★4.3/5(「13年待った甲斐があった至高の鰻」「香ばしさとタレのバランスが絶妙」と絶賛)
- 英語メニュー:なし(店主は日本語のみ。海外からの常連もいるが、訪問時は日本語での指さし注文推奨)
10. うな茂

昭和21年創業の大阪を代表する老舗鰻専門店。外は香ばしく中はふっくらと焼き上げた伝統の蒲焼きと、150年継ぎ足しの秘伝ダレが自慢です。名物のうなぎ定食(肝吸い・肝煮・漬物付き)はボリューム満点で、特に甘辛く煮込まれた肝煮は「ここでしか味わえない逸品」と評判を呼んでいます。
- 住所・アクセス:大阪市中央区博労町2-3-11(堺筋本町エリア)。OsakaMetro堺筋本町駅より徒歩7分
- 営業時間:月~金 11:00~22:00、土 11:00~21:00。定休日:日曜
- レビュー評価:Google★4.1/5(「老舗ならではの安定感」「肝煮の旨さが格別」と根強いファン多数)
- 英語メニュー:なし(日本語のみだが、老舗の味を求めて訪れる外国人も多い)
(番外編)牛丼チェーン店でも手軽にうなぎを味わえます

本格的な鰻専門店のほか、日本の大手牛丼チェーンでも夏季限定で手頃なうなぎメニューを提供しています。時間や予算が限られていても気軽に鰻を味わえるので、旅の合間に利用してみてはいかがでしょうか。
- すき家 のうな丼
- 毎年夏に「うな丼」と牛丼とのハイブリッドである「うな牛」を販売します。香ばしく三度焼きしたふっくら鰻に特製の甘めタレを絡め、ご飯にのせた「うな丼」は税込980円~とリーズナブル
- 吉野家の鰻重
- 老舗牛丼チェーンの吉野家でも夏の定番メニューとして鰻重を販売しています。厳選した大判の鰻を秘伝のタレでふっくらと焼き上げた鰻重は、店内飲食税込みで一枚盛1,251円、二枚盛2,360円ほど。
味噌汁や牛小鉢がセットになったメニューもあり、牛丼チェーンとは思えない本格的な鰻の味が評判です。 - 松屋 のうな丼
- カレーや定食メニューで知られる松屋もまた、夏季限定で「うな丼」を提供します。特製ダレを4度付け焼きして香ばしく仕上げた鰻は、牛丼チェーンとは思えぬクオリティと毎年好評です。シンプルなうな丼(980円)以外にも、牛めしとのコンビ丼「うなぎコンボ牛めし」(1,230円)や、とろとろの玉子でとじた「うなたま丼」(1,130円)など創意工夫を凝らしたメニューが展開されます。
ボリューム重視の方向けには鰻二枚・三枚のダブルうな丼・トリプルうな丼もあり、最大で鰻3枚を載せた豪快などんぶりも楽しめます。
これら牛丼チェーンの鰻メニューは短時間で提供され価格も専門店より抑えめなので、カジュアルに鰻を試したい旅行者にぴったりです。
「本格的な鰻重はハードルが高い…」という方も、ぜひ一度トライしてみてください。手軽な一杯から、日本の夏の味覚であるうなぎの魅力をきっと感じられることでしょう。


